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日本へのお見舞いの言葉
東北関東大地震後3週間が過ぎようとしている今、ここアメリカで、アメリカやヨーロッパの方から私たち日本人に掛けられる声はとても真摯だと感じる。東京からと聞いてすぐに何かを言うのでなく、しばらく話してからとても言葉を選んでお見舞いの言葉を伝え、今の状況についての心配を共有してくれる。アメリカに着いたらラジエーションチェックでもされるんじゃないかと思っていた節も少しあったのだが、とんでもない。放射能のアメリカへの拡散を怖がるどころかみなとても真摯に接してくれているという印象だ。
アメリカでの報道ももうほとんどない。あのCNNまでもが流したドラマチックな行き過ぎた報道はすっかり消えたところを見ると、世界を巻き込む可能性もだいぶ下がったという認識なのだろう。
今日話したスウェーデンから来た男性に、スウェーデンでの原発事情について聞いてみた。やはり日本と状況は似たり寄ったりのようで、原発は5つほどある、それについての是非を国民に問い、何年までにはなくすべき、という結論まで出た、という。しかし、その結果は何も変わらない。なくすべきという時期になって、あぁ、そうでしたねぇ、そういう結論になっていたんでしたねぇ、という状況、といった説明をしてくれた。なるほど。なくそう、って言って簡単になくせるものでないわけだ。これも今回の件でよくわかった。
日本で起きたことは、世界でしっかり教訓として欲しいと思った。いや、一番教訓とするべきは当の日本だろう。こんな地震国である日本が一番その危険性を認識してリスクマネジメントを徹底していなければならなかったはずなのに。。。とつくづく思ってしまう。。。2011年 3月 31日 | Filed under 気になること -
ユーザビリティは文化的背景なくして語れない!
今日、別のワークショップに参加した先生とのディスカッションで出た重要な発見がある。それは、サービスや製品、ウェブサイトの情報構築は、ユーザーの文化的背景により変わってくるということ。
日本人に向けた日本のサービスのユーザーへのアプローチと、同じサービスのアメリカ人ユーザーに向けたアプローチは同じではないのだ。
常々考えてきた、「英語サイトは日本語サイトの英訳版ではいけないはず」ということをしっかり裏付けてくれた発見だった。 -
IA Summit 2011 – Usabilityワークショップ
昨日の夕方、コロラド州デンバーに到着。寒いと聞いていたけれどそれほどでもない。というか、私は先週の東京くらいの寒さかなぁと思うけどこっちの人の薄着にはびっくり。半袖で夜で歩いている人がいる。さすがアメリカ・・・。
さて、今日からメインカンファレンス前のワークショップが始まった。一日目の今日は、”Usability Bootcamp” に参加。朝の9時から夕方の5時までぶっ通し。
最初の1~~-2時間は先ずは英語に慣れるのに必死。先生も参加者も当り前だが早口。。。集中してとにかく聴くことに徹する。単語調べとかテキストに目を落とすとかしていると散漫になる。徹底的に先生の目を見て耳を使って理解した。さいわい、ワークショップとしてやるべきこと、チームでのハンズオンの作業、レクチャーの内容の理解はしっかりできたと思う。
さて、このワークショップ、とても中身の濃い、深みのあるユーザビリティテストに関する内容だった。ユーザビリティテストの一連の流れを、なぜそのプロセスが必要かをしっかり説明しながらプロセスごとに解説し、それぞれのプロセスをチームごとに作業させ体験させる。
これまでにユーザビリティに関するセミナー等をいくつか体験したが、いまひとつ全体像をとらえきれなかったのが今日で解決した感じ。かなり得るものの大きなワークショップだった。
講師のChristinaはまだ若いかわいい女性。でも、ユーザビリティテストについてはとてもプロフェッショナル。テストの下準備であるテストのプラニング、オブザーバーの人数、テスターの選考、テスターの人数、テストのタスク、ファシリテーターの役割、テスト結果データの分析、整理方法、これにより出たテスト結果の伝え方まで、始めから終りまでのプロセスについて、経験談を交えて実に詳細に解説してくれた。
このワークショップの参加者は14名。たぶん私以外は全員がアメリカン人だったと思う。ほとんどの人が実際にユーザビリティテストやウェブサイトデザインに携わっていたように見受けられた。そうした彼らが真剣にウェブのユーザビリティテストについてより新しい、詳しい情報を求めて勉強しているこの国は、それだけユーザビリティの重要性が認識されているといえる。
日本ではどうだろうか。ウェブサイトを持つサービスや製品の提供企業がどれだけ自社サイトのユーザビリティを高めるためにコストをかけるだろう。ユーザビリティの重要性は浸透しているとはいえないと思う。今日のワークショップでは日本人は他にいなかったし。まだまだ企業サイドの目線で作られているサイトがたくさんある。会社の業績がサイトのユーザビリティ向上から引き出せることをまずは実証していく必要があるのかもしれない。
さて、4月から始まるシステムデザインの勉強。今日習得したことがこの分野にどう結びつくかを考えてみた。というか、同行してくださっているSDMの先生とディスカッションした。で、結論。これはシステムデザインのVeeカーブの出発点である要求開発のところに応用できる。情報アーキテクチャとシステムデザインは実は多くの部分でつながっているのだと思う。今回のIAについての勉強を4月から始まるSDMでの勉強にしっかり生かしていくつもり。
明日は、Information Architecture: Theory and Practiceというワークショップ。IAの基本をお勉強、というところかな。楽しみです。 -
被災時の情報マネジメント
3月11日に東北地方を襲った大地震から18日が経った。その間、国内外の報道、ツイッターなど、追える限りの情報をずいぶん見てきた。
情報の波のうねりのようなものを見た気がする。海外の報道でのうねり、日本でのうねり、ツイッターユーザーの言葉のうねり。。。その中で、正しいと思える情報を拾うための判断力の大切さを思い知ることになった。
それにしても今回は情報があちこちで錯綜していた。危機管理とは情報管理を含めて行うべきものだということを痛感。(実際これがなされていたのかどうかは不明だが、結果的にはなされていたとは思えない)こういう事態では、通常なら当り前のように存在する情報の伝達手段すら絶たれてしまう。それを考慮した情報構築、情報管理が極めて大切だと思う。誰がどういう情報を必要とし、それをどう提供できるか、手段、内容を含めた情報構築システム。これがあり、機能したならば、この18日間のような混乱はこれほどのものではなかったのではないだろうか。
4月からのSDM(システムデザイン・研究科)での修士課程での勉強を目前にしたこの時期、さらには研究テーマである「情報アーキテクチャ」の国際会議に初参加する直前に起きたこの地震と原発事故は、私に新しい課題を与えた気がする。まだまだ何ができるのか分からない。でも、何かはできる。本当にこの間にいろいろ考えた。自分が役に立つことができるなら、自分が持った問題意識を忘れずに少しでもそれを解決できることを考えよう。
明日から、IA Summit (情報アーキテクチャ サミット)です。コロラド州デンバーに行ってきます。帰ったら翌日から授業が始まります。気を引き締めてしっかりやらねば! -
ボストン浮世絵展@山種美術館
学校の研究室での活動に即して、浮世絵について少々調べよう、と思っていた矢先、な、なんとアメリカのボストン美術館の浮世絵展が開催されるのを知り、さっそく行ってきた。
浮世絵には馴染みがなかったが、この歳になって目の前の作品を眺めてみると、美しい・・・。女性も男性も、艶がありとても粋に描かれている。簡単に言うと「かなりおしゃれ」だ。着物も素敵。こんな風には一生かかっても着こなせない。欧米人が憧れるのはこういうところなんだろうなぁ。
レクチャーを聴く機会もいただき浮世絵の歴史や変遷を知るとますます面白くなる。アメリカのボストン美術館の浮世絵担当の女性からは、どうやって54000点もの浮世絵がアメリカに集まったかのお話。そして、浮世絵の価値が日本でなく海外で高まりそれが逆輸入されている流れも知った。
アメリカのボストン美術館も、もうひとつたくさんの浮世絵を保存するオランダのライデン美術館も、図録のデータベースをインターネットで公開しているそうだ。調べてみたいこともあるのでぜひのぞいてみよう。
山種美術館は最近恵比寿に移転し新しい建物になっている。広くはないけれど日本画専門のこだわりの美術館。たまたま学生時代の友人が館長を務めているので一度立ち寄ろうと思っていた。そんなときにこの浮世絵展。とてもいい機会だった。
それにしても、ボストン美術館の浮世絵はこれまでほとんどアメリカでさえ展示されてこなかったという。おかげで素晴らしい色彩がそのまま残っている。一度展示すると5年間はまた倉庫に眠る。日本のものをこんなに大切にしていただいて有難いやら、でもこれって日本のものだよねぇ、とちょっと哀しいやら・・・。
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