Presentation ZEN

この時期、お勉強、お勉強~、と、自分に鞭打ってたくさん本を読みたいと思います。

STCのアメリカサイトでお薦めの本をチェックしたところ発見した、Presentation Zenという本。本のタイトルからすると、プレゼンの本?禅の本?となるが、どちらも答えはYes and No. ちょっと正しいけれどちょっと違う。

何かを伝えようとするときにより伝わりやすい方法を、禅というアプローチで教えてくれる。なにも、こむずかしい日本の文化を解説しているわけではなく、余計なものを取り去り、よりシンプルに、ポイントを引き立たせ、聞き手を飽きさせない方法を説いている。

シンプルに、ロジカルに、という基本に加え、ここでは聞き手中心に考え(まさに、HCD:人間中心設計 によるデザインだ!)、より聞き手にインパクトを与え、記憶に残るプレゼンテーションとして、ストーリーを持たせよ、というアプローチは新しいと思った。

文章にインパクトを持たせる、つまりはコピーライティングの領域は、なにも広告だけのものではない。ビジネスのプレゼンにも取り入れればより効果的なプレゼントなり、そこからビジネスが生まれる。考えてみれば当たり前のことなのだが、なぜかプレゼンは普通にパワポの箇条書きを見せればいい、という固定概念が存在しているわけだ。

筆者は、とにかくこれまでの固定概念は全て捨てる!と強調している。固定概念を捨てる、これは何もプレゼンだけじゃない。日本語の文章はとにかく分かりにくい。その、わかりにくさが高尚だという考え方もある。(ほんと~に翻訳者泣かせ…) 固定概念を捨てて、情報を整理し、不要な情報はバッサバッサとまずは取り除く。日本に根付く「禅」の教えをドキュメント制作にも生かして、いろいろなシーンで人に伝わる言葉づかい、聞き手の心に残る伝え方が注目されることを期待したい。

私は長年英語をニュースライティングの観点から勉強してきた(ケリー伊藤氏が提唱するPlain English)が、ニュースライティングでは、1センテンスの単語数、全体の文章の長さ、そして使う単語の難易度の指定がある。読み上げる速度にだって決まりがあるわけだから早口でたくさんの情報を流せばよいというものでもない。この制約の中で、聞き手にできるだけインパクトを与える。この考え方は、そのままこのPresentation Zenという本で謳われていると思った。

本ではさらに、アイデアを練る時はパソコンを離れよう、とか、効果的なスライドはどんなものかなど具体的な方法も提示してくれる。プレゼンの本、と限定するよりはもっと広い範囲の、コミュニケーションのアプローチとして、常に頭に置いておきたい内容の一冊。

2009年 12月 2日 | Posted in LEARNING
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