Society for Technical Communication (STC)
先週の11月25日(水)、テクニカルコミュニケーターの組織である、アメリカのSTCの東京支部のイベントに参加させてもらった。
テクニカルコミュニケーター、テクニカルライターといえば、製品のマニュアルを書くライターを思わせる。実際STCに所属する方々の多くはそういったライターの方たちである。しかし、テクニカルコミュニケーションという言葉には、「物事をわかりやすく読み手、聞き手に伝える」という、もっと広い意味がある、と私は理解している。つまり、製品、サービス、企業や組織が提供する情報が、そのサービスや製品の利用者のニーズに合い、かつ分かりやすく提供されているのかということをあらゆる側面で考えることだと思っている。その中には、情報アーキテクチャー、コンテンツマネジメント、実際に情報を提供するウェブデザインや、パンフレットやマニュアル制作、そして実際の製品やサービスをデザインすることなどが含まれるのではないか。
ユーザー中心に全てをデザインする。このイベントでは、このトピックで、篠原稔和さん(ソシオメディア、DESIGN IT! LLC 代表)が講演をしてくださった。
タイトルは、「UXが切り開くコンテンツマネジメントの改革。今UX(User Experience: サービスや製品の利用者による体験)が製品やサービスの開発を見直すコンセプトとして注目を集めている、というお話。この中で、HCD (Human (またはUser) Centered Design:人間中心設計 HCD-Net)というコンセプトが大事で、これは簡単にいえば、商品やサービスを開発する初期段階から、利用者を想定しその人がどんな風に利用するかを細かく分析し、そこからブランディング、マーケティング、サービスや製品、全てををデザインする、というもの。
全てにおいて、納得。大変ためになるお話だった。
これまで、英文ライティングで叩き込まれた情報の整理、読み手に伝わりやすくする工夫、といったスキルを、和英翻訳はもちろん、日本語のウェブサイト制作やパンフレット制作という分野で活用してきたつもりだが、もっとそのベースになっている何かを突き詰めたい、その何かを模索していたところだった私に、このTCという世界は大きなヒントを与えてくれた気がする。
STCは、アメリカの本体はだいぶ大きいようだが、東京支部はまだこじんまりしている。所帯が小さいということは、いいこともたくさんある。これから、このネットワークに参加させていただき、TCの自分なりの側面を見つけて行きたい。
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