アーカイブ
-
IA Summit 2011
年一度開かれる情報アーキテクチャの世界会議であるIA Summitに、3月末から1週間ほど行ってきます!
IA Summitは今年で12回目。2000年に始まったカンファレンスである。私がIAに興味を持ち始めたのはちょうど一年半ほど前。CSMのセミナーでコミュニケーション、コンテンツ関連の人たちと出会ってからだ。情報の構造そのものの最適化について勉強したくなり、人に聞いたり調べたり。たどり着いたのがIA。ただ、この多くの資料はウェブサイトにおける情報アーキテクチャに関するものであり、私の興味とは少し違う気がした。ウェブサイトのIAももちろん重要だけれどもっと広い意味でのIAの情報が知りたかった。
IAにはウェブサイト以外にも、組織におけるIAや、システムを繋げるIAやいろいろあると思う。4月からの大学院(慶應大学SDM研究科)生活でも、システムズエンジニアリングを情報アーキテクチャの切り口で研究していくことを主な活動として行くつもり。そんなこともあって、今IAの世界ではどんなことが話し合われているのかをまず知るためにも、思い切ってアメリカの会議に行ってしまえぃ!ということになり、今年のコロラド州デンバーでの会議に申し込んだ。
最初の2日間はワークショップ。一日目は朝の9時から夕方5時までのUsability Bootcampに参加。二日目も午前午後通しで、IA: Theory and practiceというIAの基本を一日徹底的にお勉強。3、4日目はmain conferenceに参加し、最終日を残して帰る予定。最終日まで居ると、学校の授業が始まってしまうので、残念ですが一日早く切り上げることにした。
こういう国際会議の参加は初めてなので、まあどこまで吸収できるかはわかないけれど、行くと行かないでは大違いだと思う。今年は私にとっては、どうやら≪どんどん挑戦する年≫らしい(特に前半)ので、思い切って行ってきます。楽しみ、楽しみ~。
さて、そろそろ英語に耳を慣らしとこぅ。久し振りにpodcast、いろいろダウンロードしよっと。 -
75歳美容師さんに学ぶ、ビジネスの基本の「き」
この方のところからは一年に1~2回お呼びがかかり、お使いのPCを見にお邪魔する。近所にお住まいの現在75歳の現役美容師さん、サニー大野さん。青山や渋谷でご活躍されたのち、お姉さまたちの介護の必要からお勤めが困難になり、雪谷のご自宅にご自分の美容室を開設した。昔のお客様の中にはいまだに雪谷までいらしてくださる方も多いという。
もう7年くらい前になるだろうか、サニーさんがご自分の美容院のお客様の管理をPCでされたい、というご希望でお声掛けをいただいた。まずはPCの使い方からお教えし、最終的にはエクセルでのお客様のカルテ管理、予約表管理、日経表から年間の経費計算まで、ふつうなら若い方でもちょっと躊躇されるようなことをすべてお教えし、今に至るまでその表を更新して毎年使われている。
さすがにたまにファイルが整理しきれなくなったり、PCの不具合があったりするとSOSコールやメールをいただき、ご相談がてら近所なのでちょこっとお邪魔する。昨日、半年ぶりくらいにご連絡をいただいたのでお邪魔してきた。
今日のトラブルはどうもマウスにあったようで、マウスを新しく買い替えるということで解決。その他、細かいファイル整理などをして差し上げて、とりあえず我が家に余っているマウスを取りに戻りこれで数日間代用してもらい、新しいものを選んでお届けすることにした。
仕事を終えると必ずお茶を出してくださるサニーさん。今日は、ご家族の介護で本当に大変な時間を過ごしている中、どうして美容師を続けているかというお話をしてくださった。理由はただ一つ、お客様が来てくださるから。青山や渋谷のお店の頃からの40年来のお客様も何人もいるという。つまり、サニーさんが30代の頃20代だった方たち。今は60代になっているというわけだ。ここのお客様たちはみなさん、数カ月先までの予約を入れている。つまり、美容師さんを変えようという気はもうとうない。
なぜか?それは、年配のお客様たちが信頼して任せられる美容師さんが他にいないからだ。サニーさんはお客様の生活、頭の骨格、髪の流れを全て熟知している。それを知った上でそのお客様に一番適し、手入れが簡単でいつも素敵でいられるヘアースタイルを提供して差し上げている。一人ひとりの色々な条件を考えた上でその人に対するベストプラクティスを実現しているわけだ。
青山や自由が丘には美容室はたくさんある。でも年配の女性が本当に安心して通える美容室がどれだけあるだろうか。
サニーさん曰く、「おばあちゃんがおにいちゃんがやっている美容室に行くと、本当におばあちゃんにされちゃう」
サニーさんは、これまで素敵にしてきた女性たちがチリチリパーマで「おばあちゃん」ならともかく「おじいちゃん」のようにまでされてしまうのが、気の毒でならないという。「若いお兄ちゃん」にはわからないのだろう。
でも、「わからない」では済まされない。不況の今、美容室も大変な時代、サニーさんのお客さんはめったに減らない。それは、サニーさんがお客様のニーズをしっかりと汲み取りそれに合ったサービス誠意をもって提供し、お客様としっかりした信頼関係があるからである。
これって、本当は「あたりまえ」のこと。ビジネスをするならこの姿勢は基本の「き」。不況でビジネスがうまく立ち行かなくなった今こそ、基本に立ち戻りこういうことを確認することができる。忙しければそれは無理なのだから、言ってみれば今はそういうチャンスなのだ。
サニーさんのように、地に足を付けて、いつまでも自分を磨き、お客様をも磨き、ご家族を大切にして生きて行く女性は本当に素敵だ。小さな体にパワーがみなぎっている。その証拠にご自分のお仕事のお話をされる今日のサニーさんは、本当に生き生きとされていた。二人のお姉さまの壮絶な介護に忙しい中、美容師としてのお仕事、スイミングにコーラスに英会話にスキー。75歳の今も「まだまだやりたいことがありすぎて!」とおっしゃるサニーさんには、本当にお元気にお仕事を続けていただきたいと思う。
こういう方には本当に元気づけられる。私なんて、まだまだ若造じゃん!見習って頑張ろう、という気持ちが湧いてくる。 -
テクニカルコミュニケーションシンポジウム2010
今週、24日(火)、25日(水)と二日間にわたり東京で開催されたテクニカルコミュニケーター協会主催のシンポジウムに参加した。
初日の基調講演は、グラフィックデザイナーの原研哉氏と工業デザイナーの山中俊治氏の対談。そうそうたる顔ぶれのお二人のお話には、「伝えること」のこれからを考える上でのヒントがちりばめられていた。お二人とも本当に楽しくお仕事されていることが伝わってくる。とても元気が出るお話だった。
山中氏は慶應のSFCの教授でもある。こんな先生のもとで勉強ができるなんて羨ましい・・・!きっと元気な楽しい研究室に違いない。彼は漫画家でもある。
原氏の冒頭の一言「デザインとは理解を生み出すナビゲーション、理解への最短距離をデザインする」が印象的だった。本もたくさん執筆している。なかでも『白』をぜひ読んでみたい。
基調講演の終盤に山中氏が思いつきで語った、「テクニカルコミュニケーションにおけるこれからのソーシャルなネットワークの設計のカギ」についての話、アンテナにビビッとひっかかった。かすかに表れるパーソナルなキャラクター。物の使い方がどんどんパーソナライズされる今、TCサイドの情報発信者のパーソナルなキャラクターをかすかに表に出し、パーソナルなコミュニケーションを成立させていくことがカギになる、というお話。とっても参考になる。2時間半の講演はあっという間だった。
午後はオープンソースの翻訳ツールについてのパネルディスカッション。新しい情報をいろいろと聞けた有意義なセッション。これから試してみたいこと盛りだくさんの内容だった。
2日目は丸一日DITAデー。午前はコンテクストライティングとトピックライティングについてのパネルディスカッション。DITAでマニュアル作成をした企業担当者の経験談、実際に作成にあたる方の具体的なライティングについてのお話など、DITA関連の話がメインだった。
午後はTC協会のDITAのワーキンググループによる、「TCの視点から見たDITA」テクニカルコミュニケーションにおいてDITAはどうなの?というお話。DITAのとても細かい説明が冒頭で長く続き、すご~く難しい。具体的すぎて私のように全体像がまだよく見えていない人間にはきつかった。最後にドイツのTC団体、tekomの方からのドイツでのDITAについてのお話はとてもわかりやすかった。TC協会の方の話とtekomの方の話をまとめると、DITAはone of standardsであり、特にこれがいいというものではない、大事なのは目の前にある仕事の目的をしっかり把握してそれに合う方法を探すこと、それがDITAである場合もあるしそうでない場合もある、ということらしい。DITAありきではなく、どちらかといえばその上にCMSがある、と考える。tekomの方のこの一言。そうか、そういうことか~。わかりやすい。
二日間のシンポジウム。TCといってもいわゆるマニュアル制作をしているわけでない私としてはかなり知識不足なこともあり、「?」という瞬間は多かった。その中で基調講演のお二人のお話と、ディスカッションのパネラーとして参加されていたフランス人とドイツ人のお話はかなり分かりやすかった。私にはとても伝わってきた。こんなところにもこれからのコミュニケーションのヒントが見えた気がする。
基調講演以外は、全体的に議論の中心にあったものは「伝える」ことの効率を高めるためのいろいろな技術であったように思う。私が翻訳(特に英訳)をしてきた中でずっと感じてきたもやもやは、これらの技術では残念ながら解消はされない。閉塞感てんこ盛りの今の日本には、「伝える」こと「発信する」こと「コミュニケーション」することをもっと根本を議論する必要があるのではないか。私は私なりに、「理解を生み出す最短距離」をデザインすべく日々邁進し行こうと思う。 -
“FREE” 読了
遅ればせながら、Chris Andersonの『フリー』を読み終えた。
半年ほど前に友人にお借りしたまま、次々と読む本に追われ後回しになってしまっていた『フリー』。ずっと気になっていて、いい加減お返ししようかと思うこともあったが、友人には申し訳ないが借りたままにしておいてよかった。
これは、価格が「フリー」「ただ」「無料」であることについての「新しい経済学」の本とお見受けした。ウェブではなにかと「無料」が当たり前の世界で、どうやってビジネスが成り立っているのかという実例、そして失敗例。個人が行う無報酬のサービス(ブログポストなど)により個人へもたらされるものなどについて詳述。
ウェブ系の本は、ここのところ「セルフブランディング」についてのものが目立つ気がするが、『フリー』は客観的に今のフリー経済を解説している。セルフブランディングについての本は、ネット上での自分の評判(ウィッフィーなどと呼ばれる)をいかにしてあげていくかを、ウィッフィーを勝ち得た著者が経験から論じる方法論のような気がして、私としてはいまいちしっくりこない。自分のブランドを上げていく方法を人から教わる、って基本的に間違っていると感じてしまう。その人はその人という中身があってはじめてブランドが成り立つわけで、ブランドを構築するための方法を身につければブランドが出来上がるもんじゃない。もちろん中身のある人がブランドを築く方法、として書いてあるのだろうが、ブランド構築ばかりが独り歩きするのはちょっと。経験談として人に読ませるだけにとどめてほしいなぁ。。。なぁんて思ってしまう。
そんな後の『フリー』だったせいか、個人の成功談とかではなく、現在のウェブビジネスを客観的に解説してくれている本、と私には映り、興味深く読ませてもらった。
長いし難しいし、飛ばし読みかな~、と思ったが、これ、きちんと読まねば、と、一応私なりに理解するまで何度もよんだ箇所も。結論として、こうせよ、ああせよ、これからこうなる、みたいな話ではない。いろんな新しい事象が次々に生まれてくるのがウェブの世界。これまでの事例を参考に、オーディエンス、マーケットをしっかりととらえた上で、自分が実現したいことを展開する戦略をもう一度考え直してみようよ、というメッセージを受け取った。
私自身、「無料で展開」するビジネスがどうやって利益を生んでいけるのかを、実は細々とではあるが真面目に考えている一人。利益のために自分の「理念」をブレさせず、自分にも、仲間にもメリットを生んでいくようなネットワークづくり。Chris Andersonさん、フリーミアムの考え方、この構想に大いに取り入れさせていただきます!
ただし、もちろん『フリー』の舞台となるウェブの世界は全て英語での世界。つまりマーケットは世界だ。一方、日本語という限られた地域、マーケットを対象としたウェブ世界で『フリー』の世界がどのように展開できるのか、いや実現できているのか。こんなことも忘れてはいけない要素だと思う。
Chris Anderson氏の次のテーマは「The New Industrial Revolution (新・産業時代)」とのこと。→http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100524-00000301-gtwo-ind オープンソースを駆使してロングテールのマーケットを満足させる産業が可能になるという話。「オープンソース」これまた大変興味があるテーマ。是非ぜひ読んでみよう。 -
英語でコミュニケーションしたい人 応援します
先日、友人からtwitterで英語の教材を教えてとリクエストされた。「アメリカ人の友人と楽しくコミュニケーションするため」という明確な目的。
ケリー伊藤氏に長い間師事していた私としては、やはり彼の著書の中から選ばせてもらった。
で、選んだのはこれ。
日米慣用句表現辞典 - これを英語で何と言う
結構厚みのある1900円する本。一つの日本語の単語から様々な英語の例文が見られるようになっている。日本語の言葉から英語の単語を導くものでなく、日本語の単語から、そこで言っている意味を噛み砕いて他の言葉で表現し、それを英語で表現している。
例えば、『諦める』という項目に「捨て子」とか「年貢の納め時」とかいった日本語を英語にした例文が載っている。いずれの言葉にも「諦める」という意味合いがある。例文の英語では「捨て子」はabandon、「納め時」ではsettle downを使っている。
友人に投げかけられたいい機会なので、英語について気を付けていることを少しまとめてみる。(といっても、みんなケリー伊藤氏の受け売り。)
日本語を英語にするときに一番大事なのは、言葉そのものを英語にしようとしないこと。ケリーがいつも言っているが、「お早う」を”It’s early!”という日本人はいない。ちゃんと”Good morning!”といえるのに、ちょっと複雑になるともうその発想は残念ながら消えてしまう。
お早う→good morning! の発想、これが常にできれば、日本人の英語表現力は格段に伸びる。だがしかし、「早い」は”early”だから・・・、と、すぐに辞書に頼りたくなってしまう。そこをぐっと我慢して、「お早う」で、自分が伝えたいことは何?と自問する。それは朝の挨拶。じゃあ、英語で朝の挨拶はなんていう?という展開に持っていく。この展開に慣れるようにするのがいいと思う。
どういうトレーニングが最も有効か。これについて少し研究してみたいと思う。簡単なことが簡単に言えるようになること。これが英語嫌いの日本人を少しでも英語好きにするポイントだと思う。これに少しでも貢献できたらな。
最近のコメント